「豊かな心を育む善行児童生徒表彰」 山田稔
2019/11/07(木)
豊かな心を育む善行児童生徒表彰
明星大学通信教育部教職担当客員教授
沖縄県退職校長会会長 山 田 稔
最近の児童生徒の活躍状況を見ていると、学力やスポーツ、文化活動でも九州や全国的な活躍が目立ち、改めて児童生徒の未知の可能性には目を見張るばかりです。一方で、人命救助の中学生、高校生や借りたお金を返金した高校生の話題は記憶に新しく、心を打たれる温かな気持ちにさせられた。まさに、本県児童生徒の知・徳・体の調和とれた育成が図られていることを実感させられる話題です。このことは、学校・家庭・地域社会が一体となって長年に渡り地道に取り組んだ成果と言えるでしょう。
ところで、児童生徒が日々楽しい学校生活を送る中、明確な目標を持ち、勉学や部活動等スポーツ活動に励むことは勿論のこと、児童会・生徒会活動、挨拶・環境美化活動、ボランテイア活動、人命救助、学校行事や地域行事への参加を通した個人や公共生活への貢献などリーダーシップを発揮した積極的な活動は、学校生活を豊かにし、引いては社会全体を明るくするすばらしい行為であり、他の児童生徒の模範となる感銘を与える行為です。
本県退職校長会では、このような児童生徒の学校、家庭、地域社会での善行活動を応援する事業として「善行児童生徒表彰式」を実施しており、平成11年度に開始して以来、令和元年度で21回目になる。この表彰がスタートした当時の表彰要項によれば、児童生徒の問題行動が顕在化し「心の教育」が叫ばれる中、学校、家庭、地域社会における感銘を与えるあらゆる善行活動に対して表彰することを通して、更なる善行活動の普及及び健全育成を図ることを趣旨としてスタートしたとある。令和元年度までの実績では、個人283名、団体100団体の児童生徒が表彰を受けている。改めて本事業の意義を問えば、文字通り、児童生徒の「豊かな心」の育成の一環であり、新学習指導要領が求める「自立心や自律性」「自己肯定感」の育成、いじめ、不登校、規範意識の低下などの教育課題を克服し、基本的な生活習慣を確立する上で、人生や社会で生きて働く汎用性のある「豊かな心」の育成の一助となるのではないだろうか。今後、AIやIOT、5Gなどデジタル社会が進展する中、いつの時代にも求められる普遍的な「豊かな心」の育成に向けて、未来の創造者として、そして令和の時代の担い手となる児童生徒の夢や希望を育み、健全育成を図る上でも尚一層善行の輪を広げていくことが大切である。
本県退職校長会では、来る11月16日(土)午後2時より、沖縄市産業交流センターにおいて、結成30周年記念令和元年度第21回善行児童生徒表彰式を開催する予定である。