ハンガリー留学体験記
2019/03/19(火)
本学院講師の慶田喜則先生は、元高等学校長で数学教育の専門家ですが、先生は英語も得意としています。
教員在職中には、San Jose州立大学(アメリカ,30歳代)やTroy State大学院(教育学、40歳代)で学習を積んだ後、退職後にハンガリー国立大学(数学専攻)へ留学し統計学を学びました。
60歳を過ぎてもなお、向上心を持ち続ける慶田先生にハンガリーでの生活や大学の様子をまとめてもらいました。
海外(ハンガリー)留学体験記 慶田喜則
~ より沖縄、日本が見える ~
留学期間:2012年~2016年(4年間、高等学校・校長退職後61歳でヨーロッパに留学)
留学経験:San Jose州立大学(アメリカ,30歳代)→ Troy State大学院(教育学、40歳代)→ ハンガリー国立大学(60歳代)
Ⅰ ハンガリーでの生活・感想等
1 生活等
①主都ブダペスト(ドナウ川、世界遺産の通り・教会・王宮等、国会議事堂等)
②イザベラ通り(私の留学1年目の住所)→ 2年目からペーチへ住所移動
③学園街ペーチ大学へ・・・静かで草木や花の多い街/大学近くに住所・アパート
④バラトン湖(ヨーロッパで大きな湖/夏期休業中の保養・別荘地)
⑤広い国土(見渡す限りの平野)→ 農業、歴史的遺跡の観光等
⑥政治・宗教の平等性(国会議事堂とSt.イストヴアーン教会は同じ高さ)
⑦ビール、ワイン、コーヒーの歴史的文化が根づいている
⑧食材(グヤーシュ、パプリカ、豚肉等)/温泉文化あり
⑨気候(夏は夜9時頃まで明るい・白夜?、冬は-10℃もあった)
⑩物価は日本より安いと感じられる(日本円/フオリントとの交換レート)
⑪公共施設や室内の全面禁煙である(国の法律)
2 社会状況や文化等の感想
①独自の国の伝統を重んじる民族【ハンガリー語、通貨・フオリント、王宮、建築物、教会、国歌(正月に起立して歌う)等】
②教育立国/理系立国
(例)授業料無料(ハンガリー人の友人は、小・中・高・大・大学院まで無料)ノーベル賞受賞者等
③理系重視の国(ハンガリー)であると感じられる
例)数学、物理、化学、生物、コンピュータ等重視、日本のそろばん教育(小学校で)、数学者ピーターフランクル(数学オリンピック)の必然的輩出等
④ハンガリーの音楽大学(リスト音楽院)への日本人学生もいる。ピアノ、バイオリン、オペラ等・・・大学や大学院 /国立オペラ劇場あり
⑤人柄(知人・友人達は大らか、人なつこい、親日家が多い・・・日本企業があり働いている)
⑥日本との交換留学制度(交流)あり・・・大学生(友人)、大学教授
⑦戦争による犠牲者あり(ヒトラーによる虐殺)・・・沖縄県と共通体験の部分あり戦争被害・平和の祈念館あり
⑧現在のハンガリーは独自の文化を尊重しつつ、アメリカナイズしていると感じる
⑨日本が発達・優位であると感じる事項(経済状態、交通網、航空等)
⑩ハンガリー語、法学、哲学、文学、経済学等での留学生もいる
Ⅱ 海外大学での経験・授業等
1 入学試験:一次試験(TOEFL留学試験、英語で数学・物理・化学・生物の試験)
二次試験(英語、英語で数学・物理・化学・生物の試験、口頭試験)
◎ 東京で一次試験(上記の筆記と口頭試験)、ハンガリーの大学で二次試験
◎健康診断(血液、AIDS、肝炎、レントゲン検査等)→入学条件厳しい
2 大学生活(全て英語での授業/世界各国からの学生達と切磋琢磨して学習)
【1年目】
マク・ダニエル大学(主都ブダペスト在)で基礎科目
●英語(日常生活全般の内容、歴史、文化、小説、科学、医学、英作文、英文法等)
●ハンガリー語(基本事項、あいさつ Jo・・・、クスヌム セーペン:ありがとう等)
●数学(基礎数学、大学初年程度、指数、Log対数・・・)
●物理(全般、流体力学、実験等)
●化学(全般、量子力学、原子構造、原子・分子・原子核等)
●生物(分子生物学、DNA、RNA、タンパク質の構造と形成等)
※ 余暇を利用して、ジョギングやスポーツジムで健康管理/テニスで体力保持(日本大使館テニスクラブ、日本企業で働く人達、ハンガリー人、学生達と交流)
【2~4年目】
国立ペーチ大学で専門科目中心(大学・大学院レベル)
●数学専攻(統計学)
●統計学・・・理論の徹底研究、コンピュータ活用、SPSS等の多様なソフトの活用
●他の科目の選択(ハンガリー語、物理、化学、生物等・・より高度で専門的/実験)
●口頭試問や実験・実習(コンピュータ活用)あり
※ 講義はパワーポイントの活用が多い/黒板・白板を使用しての授業形態もある
※ 余暇を利用して、スポーツ(ジョギングやエアロビクス等)で健康管理/テニスで体力保持(ハンガリー人テニスコーチ、学生達と交流)
3 ハンガリーの大学の特徴(多くの科目で最終の口頭試問で成績を決定)
①3つの授業コースから1つ選択する
(1)ハンガリー語での授業コース(ハンガリー人の学生対象)
(2)ドイツ語での授業コース(隣国のドイツ人の学生対象)
(3)英語での授業コース(世界各国からの留学生対象)・・・私の選んだコース ※ 教授は、3カ国語で講義を行う(多言語授業)
② 口頭試問を重要視
宿題 → 小テスト(6/10で次へ進める)→ 中間・期末テスト(9/12で合格)→ 口頭試問で結果(成績)が出る(教授複数で審査)/実技等もあり
※ 成績は、多くの科目で筆記テスト等をパスして、最終の口頭試問や実技試験で決まる。
※ 口頭試問では多くの問題の中から抽選し、それについて教授の質問に答える。
4 世界各国からの学生達との交流(切磋琢磨で学習、国際交流イベントあり)
①国際交流イベント(年1回、各国の紹介、劇、言語、料理、ダンス、音楽等)
②学友達(シプロス国・地中海、ハンガリー、イギリス、アメリカ、イスラエル、中国、韓国、トルコ、ナイジエリア、ノルウエー、ドイツ、スペイン、インド、イタリア、日本、アルゼンチン・・・等からの学友達)
※ 国の違いを理解し、人種を超えて交流
③インターネットのメールやFacebook等で連絡・情報交換
5 教授について
専門分野の天才である → 満足感のある講義、指導である(最先端の内容)
Ⅲ 留学制度について
1 募集形態
①地方自治体(市・町・村)からの募集
②県からの募集
③国から
④海外の学校からの募集(直接申込み)
⑤留学機関・業者からの募集
⑥その他
2 留学時期と期間(留学を希望する時期と期間は、個人によって異なる)
①中学時からの留学
②高校時から
③大学時から
④大学卒業後から(社会人留学)
3 留意事項(重要)
①現在在学中の日本の学校としっかりと相談する(帰国後の単位認定、卒業可否等)
②家族と金銭的サポート等をしっかり確認(授業料、生活費等、銀行残高証明書)
③留学先の治安等の確認/事前学習(歴史、政治状況、文化、自然等の予備学習)
④学力(語学、基礎力)、しっかりした留学目的、心身の健康:「生きる力」の確立
4 留学前(全ての準備)→ 留学中(安全・健康で勉強集中)→ 留学後(経験を活用、還元する)