小学校教員免許コース 講師紹介2
2019/01/17(木)
育英義塾教員養成学院 小学校教員免許コース(夜間部)の講師のほとんどが元学校長で、現在でも活躍している先生方です。
今回は、明星大学通信教育部非常勤講師の山田稔先生をご紹介いたします。
山田先生は、元小学校長で、明星大学通信教育部の授業科目に加え、教員採用試験対策講座や管理職登用試験対策講座の講義も担当していらっしゃいます。
以下は琉球新報「東風」で掲載されました。
学びの質の向上に期待 山田 稔
学校の教育課程編成の基準となる学習指導要領改訂の基本的な方向性が中央教育審議会から平成28年度中に答申される予定である。それに先立ち、中教審がその審議のまとめを明らかにしている。
それによれば、グローバル化や知的基盤社会など社会の加速度的な変化に対応していくために必要な資質・能力として、①生きて働く「知識・技能」の習得、②未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力」の育成、③学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性」の涵養を明確にしている。
これは教育基本法や学校教育法にみる学力の考え方や地域社会との連携を重視して、「社会に開かれた教育課程」の実現を目指したものとなっている。また、従前の改訂の中心であった指導内容の見直しに留まらず、教育方法や「何ができるようになるか」と言う学習の到達点を示す改善になっている。
さて、子どもたちの現状を見ると、国内外の学力調査などから改善傾向にあるものの、判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを述べることや社会参画の意識等についての課題が指摘されている。
今回の改訂では、新しい時代に求められる資質・能力を育成するために、全教科等において、主体的・対話的で深肩書きい学びとして、「アクテイブ・ラーリング」の視点を踏まえた学習・指導方法などの授業改善が求められている。県内外でもアクテイブ・ラーリングの先行的な授業実践がすでに取り組まれている。
アクテイブ・ラーリングの実践にあたっては、子どもが様々な課題解決に向けて、生きて働く知識・技能や考え方などを活用して、主体的、対話的に問題を解決していく授業改善に努めることが重要である。子どもが、生涯に渡って能動的(アクティブ)に学び続けることができる学びの質の向上に期待したい。
(2016年11月27日付、琉球新報「東風」掲載)
「未来を生きる力」を育む 山田 稔
情報化、グローバル化が進展する中、今や世界の動きを様々な情報手段を通して居ながらにして瞬時に知ることができる時代になった。このように、急速な技術革新と経済・社会の急激な変化と多様化・複雑化・高度化が進み、産業構造や就業構造が変化する一方、ニートやフリーター、早期離職者の存在や国際学習到達度調査や国際数学・理科教育動向調査の結果から、「自分の将来のために学習を行う意識が他国に比べて低い」ことが明らかになり、学校での学びと将来の社会人・職業人との関係性が見い出せないでいるなど、学校から社会への移行が円滑に行われていないことの課題が指摘されている。
また、急速な国際化、交通手段が進展する中、観光で外国に出かけたり、逆に観光で訪れる外国人が増えるなど、外国留学や海外勤務も含めて、日常生活の中で異なる文化や生活習慣を持つ外国の人々と接する機会が増大しており、国際化への対応、国際社会で活躍する人材育成の必要性が指摘されている。
前者への対応としては、体験活動などを通して、子どもたちが将来への夢や希望を持ち、就きたい仕事とそのための学校での学びとの関連性、学ぶ意義を認識させ、意欲的に学習に取り組む態度や必要な知識・技能を養うことが必要であろう。また、後者への対応としては、自国の文化を尊重しつつも、国際的な視野に立ち、諸外国の生活や文化や言語についての理解を深めさせるとともに、外国語活動の充実を図り、コミュニケーションの手段としての外国語に慣れ親しませることが大切であろう。
子どもたちは「現在」とは違う「未来」を生きると言われる。そのためにも「未来を生きる力」をしっかり育むことが大切である。
(2012年6月18日付、琉球新報「東風」掲載)